「○リっこメイドさんの館」 第二話 - みのりん最後の死闘!


2 みのりん
※七穂を書こうかとも思ったけど後から投票数で負けちゃったからみのりんの一人称で二話は進んでいきます。
(編者注:宵明祭二次創作作品受付所内部で投票が行なわれ、それに基づいてベルヘンさんが書き進めていらっしゃいました。)
※なお、登場人物は全て、 本 編 と は 別 人 で す 。



「3人で料理勝負することにしませんか?」
私が気だるく目を覚ますと七穂さんがそんなことを言っていた。
ニヤリ。おっと顔に出さないようにしないとね。
「私はいいよ。他に考えもないし。」
クックック、実は私には誰にも見せたことのない得意料理があるんだよね。
誰に評価させるのかは知らないけどこれを食べれば誰だって・・・ニヤニヤ。

「それじゃあ・・・、夕食まで時間が無いから・・・、今日の夕食はみんなで一品ずつ副菜を作りましょ。それをご主人様に食べてもらって、誰の料理が一番おいしかったか決めてもらう。明日からはその結果で作る人を決めましょう。」
「はっはっは。待ちたまえ君たち。」
バンッ!と戸を開けて入ってきたのは・・・旦那様だ。
「旦那様、いつも言ってますけど休憩室には入らないでくださいっ!」
「せめてノックぐらいしてください!」
「その料理合戦。もちろん私にも参加させてくれるんだろうね?」
・・・は?このオジサン何を言い出すの?
目を横に移せば2人もキョトンとしている。
・・・・・・いや、3人目が何か企んでいる目で旦那様へ隠れて近づいてってる・・・。
「君たちの料理を食べられるなんて、こんな素敵企画!参加しないわk(ウワナニヲスルヤメ」バタン
あー・・・・・・、とりあえず目を背けておこう。
私は部外者に変な注射をされる旦那様は見ていないよ、うん。

「なにやってるんですかすばるさん!」
命知らずにも七穂さんがすばるさんに食いかかる。そして・・・・・・あれ?
「まあまあ、こういうイレギュラーがあった方がこのおじ様だっていい大人になれるでしょうから。ね?」
・・・ちらっと見ると、そんなことを言いながら旦那様の頭に何かを差し込んでいるっぽいすばるさんが見えた。



・・・・・・・・・



なんやかんやで話もまとまり、料理を作ることになった。
私の料理は肉じゃが!こんなこともあろうかと送ってもらった神明スペシャルの醤油使用!
なぜか知らないけどここの人たちって誰も肉じゃがを作らないんだよねー。
フフフフ・・・、今日という日のために温存しておいた甲斐があったってもんだね。

で、なぜか隣にメイド服のオジサンがいる。
「わったしーはかっわいーーいメーイドーさんーー♪♪(野太い声で)」
・・・なんかすっごく気持ち悪いんだけど。しかもなんで私の隣にいるの?
「ピンポーン、電波を受信しました。マイグラスハートからのお電波でーす。」
「なっなにっ!?」
いきなりオジサン・・・旦那様の残骸が変なことを言い出す!
「私はみのりんが大好きなのー。アット沢目道隆」
「ブハッ!」
思わず吹いちゃった。あー、いきなり何を・・・。
「なおこの電波はノンフィクションでーす。お電波でした。」
蹴っていい?・・・・・・むしろ蹴る。
「死ねこのセクハラ親父っ!」
「ガフォォッ!私のMの血が今っ!目覚めr」
「逝ねっ!!」
中途半端は逆効果なようだから常備している箒で思いっきり叩いちゃった。

ガターン!
「・・・・・・って大丈夫ですか旦那様!?」
・・・これってもしかしてかなりやばくない?
いやっ、さっきまで旦那様は明らかに異常(間違いなくすばるさんの刺した注射のせいで)になってたからきっとこのことは覚えていないはず!
大丈夫大丈夫。

きっと大丈夫なんだから・・・・・・とりあえず放っておこうかな。



・・・・・・・・・



そして料理が完成した。
調理室の下の棚がガタガタなっていたけどそれは気にしないことにして、サクサク進めていっていたら、どうも一番乗りだったらしい。
「そうですね。冷めないうちに食べてもらいたいでしょうし・・・、もうご主人様は帰ってきているみたいなので先に出してしまっていいですよ。」
七穂さんに聞きに行くとそんなことを言われた。
・・・・・・ということは私一人ご主人様に会いに行っていいんだよね・・・!
ニヘラーとしてくる顔を整えながらご主人様の私室へ向かう私。
その現場を見た人に後で不気味だったと言われたのはショックだったけど、それは別の話。

長い廊下を歩いて歩いて、やっとご主人様の部屋の前へ。
コンコン
「はい、どうぞ。」
ノックにこたえて聞こえてきたのはご主人様のあま〜い声。
お父さん、みのりは今幸せです。
戸を開けて中に一歩入る。
「失礼します。ご主人様、お食事が出来たので呼びにきました。」
こちらへ振り向く麗しのご主人様。
「うん。わかった。じゃあ今から行くよ。」
ああ、立ち上がる動作だけでも絵になる〜。
「それでは案内しますね。ご主人様」

ご主人様と一緒に歩く廊下。
来るときはとっても長く感じたのに、食堂に戻るのはすぐだった。
もう少しお話しながら歩きたかったのに・・・。



結局、若干冷めてしまった肉じゃがを温めなおし、席に着いたご主人様の前に置く。
「・・・あ。」
・・・と聞こえてきたのはとても気まずそうなご主人様の声。
「え・・・と、どうしましたか?」
「・・・う、うん。あの・・・俺、じゃがいもは食べられないんだ。」
「・・・え?えーーっ!?ほ、本当に!?」
そ、そんな・・・
「でもちょっとくらいなら・・・どうですか!?」
「ごめん。酷いトラウマがあってさ、見るのも・・・辛いんだ。」
ガーン ガーン ガーン
本当に音が聞こえてきそうなくらい落ち込んで、私は自分の自慢の肉じゃがを、1口も手を付けられていない肉じゃがを調理場まで持って戻り、ゴミ入れに捨てた。



そうだ!死のう!

Bad End